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ISKA@銀弾の射手

  • ボーダー名はISKA@銀弾の射手。 愛機、『Schwarz Richter (シュヴァルツ・リヒター)』で、各地域を狙撃兵として転戦。 狙撃技術の開発に努めています。 普段は狙撃ですが、強襲にも乗ります。前線では爆撃機として突貫しております。 マッチしたらヨロシクですww
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「Log~ストリレイア戦線RE035~」

 薄緑色の靄が視界を歪め、遠巻きに響く砲声をも掻き消そうとしている。

 長らく続いた大雨は一時的に収束を見せていたが、増水した河川の轟きが収まることはない。眼下に流れる大河では、まるで蛇口を目一杯まで開放したかのような勢いで、大量の水を下手へと流し落としていた。

 耳を澄ませば、機密性の高いコクピットの中でも、号という絶音を耳にすることができる。川はそれほどの勢いで流れている、ということだ。

「ちっ・・・ニュード干渉が大き過ぎる、正確な射撃管制ができない!」

 ブラスト・ランナー、クーガーの手狭なコクピットの中、GRF所属兵、シン=ヤガミは自分の置かれた境遇に対して呪詛の言葉を吐き出していた。何度トリガーを引いても、弾が敵に当たらない。それが彼の焦りを増大させ、悪循環となっていると自覚しながら。

 復興暦035年中期、旧欧州地方ジアストリナ地方に流れる大河ストリレイア川では、すでに数ヶ月という長期に渡ってGRFとEUSTの軍事衝突が続いていた。

 著しいニュード汚染に晒されたこの河川では、それだけに大量のニュードを採掘することが可能だった。その採掘権を巡り勃発した戦闘は、互いに攻め手を欠いたままで現在に至っている。これは一説にはストリレイアは川幅数キロという広大な河川が故、GRFもEUSTも攻め込むことに消極的になったためだと言われている。

 それがために両軍に求められたのは、遠方からでも敵を狙撃し排除できる、確実な攻撃能力だった。かつて歩兵隊で狙撃兵を担っていたシンは、従って求められた任務を達成すべく、ヴォルペ突撃銃を改造して作成された急造品の狙撃銃を使い、ブラストによる狙撃を敢行していたのである。

 しかしストリレイア川における狙撃任務は、彼にとって考えうる限り最悪な条件ばかりが顔を揃えた、未だかつてないほど困難を極めるものだった。

『狙撃機、火力支援を早くしてくれ!このままでは、ラインが上がらん!』

 通信機から、味方前線部隊の悲痛な叫びが響き渡る。

 呼応するようにシンはトリガーを引き絞るが、単射設定でさえ手元の突撃銃は跳ね暴れる。それが照準のブレを呼び、狙った敵を撃ち逃してしまう。期待された戦果の半分も発揮できていないことは、キルレートの伸びからシン本人が一番よくわかっていた。そして自分の怠慢のせいで、作戦が順調に進んでいないこともまた。

『く・・・こちらブラヴォー1、これ以上の交戦は危険だ!一時後方に下がる!』

『デルタチーム、ブラヴォーチームの穴を埋めるぞ!友軍の撤収を支援する!』

『了解ッ!』

『狙撃機、何をやっている!早く支援を・・・うぉっ!?』

 それが機体の不調のせいだと言えば、言いわけとしては容易い。狙撃機といえども所詮は無理に装備を整えただけであり、それ専用のブラストというわけではないからだ。

むしろ、濃密なニュード粒子による精密機器への干渉が懸念されるこの場において、急造ブラストが役に立つと思うこと自体が間違いとも言えた。ブラスト・ランナーは戦闘用の機械だが、そうである前に一介の精密機器の塊に過ぎない。何が原因で不調を起こすかはわからないし、それを予測することは困難である。

 しかし、シンはそれを言いわけに使うつもりは毛頭なかった。機械を否定したところで使うのは人間、その性能を充分に発揮できないのならば、それは搭乗者の責任である。ひいては、シン=ヤガミとはその程度の人間でしかないということの証拠でもある。

「くそっ、また外したか・・・。」

 再び敵の頭上を抜けた弾丸の軌跡を追いながら、シンは短く舌打ちした。

 戦場から遠く離れた場所にいると、嫌でも戦場そのものがよく見えてしまう。それが敵を押している場面なら安心だ。だが彼の目の前で繰り広げられている光景は、お世辞にも味方に気勢が傾いているとは言えなかった。

 明らかに押されている。彼らはシンの狙撃の腕を見込んで、敵の防衛線へと突撃をかけたのだ   それに対して満足な支援が届かねば、その光景もむべなるかな。

 だがそれでも、シンは狙撃銃を捨てない。自分に与えられた任務を、自分にできる範囲の中で遂行し続ける。百撃てば百外れるわけではない。その中の一発でも有効弾を送り込めれば、それが誰かの生存につながることもある。

 それが期待されている戦果とは程遠くとも、誰かから非難される行為だったとしても、今の自分にできることを精一杯やる。

シンはそのことを信じて、ひたすらトリガーを引き絞り続けた。

          

ストリレイア川におけるGRFとEUSTの軍事衝突が唐突な終わりを見せたのは、復興暦035年も終わりかけた、雪の降り積もったある朝のことである。

その日、長い戦いに無益を悟った両軍の司令官は、停戦協定を結ぶことで大規模な衝突を無理矢理終わらせた。多くの前線兵士にとって、その協定は自分たちを否定するにも等しい裁断だと受け取られた。今まで命を張って、仲間の死の上に死を重ねて、それでも組織の為に戦ってきたというのに、それに対して「無益」というレッテルを貼られたのだ。

ただ同時に、これ以上死の恐怖に怯えなくても済む、という安堵を感じた人間も数多くいた。彼らはない交ぜになった自分たちの感情に一応の整理をつけながら、河川から軍を退くことになった。喜べないまでも、全ては決して無駄ではなかったと信じて。

 この戦いにおいて特に遠距離への対応力の乏しさを露呈したブラスト・ランナーは、以降、武装面について急激な発展を見せるようになる。中でも狙撃に関する分野では飛躍的な発展を見せ、ストリレイアで実際に投入された狙撃機が、後に登場する「狙撃兵装」と呼ばれる装備の原型になるのである。

そうして多くの人々を傷つけ、幾人もの血を吸い、悲しみを吸い、憎しみを吸ったストリレイア川は、今日も轟音と共に急激な流れを巻き起こしている。

そこだけはあたかも、全ての争いとは無関係であるかのごとく。